特発性正常圧水頭症(iNPH)とは

何かしらの原因で、頭蓋(ずがい)内に脳脊髄液(のうせきずいえき)が過剰に溜まり、周りの脳を圧迫することによって様々な症状が引き起こる病気です。

症状

 

 

 

 

出典:「iNPH.jp」

歩行障害・認知症・尿失禁といった3つの症状が現れます。
特に歩行障害がもっとも特徴的な症状で、最初に出ることが多く、少し足を開き気味で、小刻みですり足になることが特徴的です。
しかし、原因が分からない上に、いずれの症状も加齢に伴い出現することがあるため、症状が出ても「歳のせい」と思われがちで、病気が進行するまで気づかないことが多いのも事実です。

診断方法

症状の状態と、MRIやCTなどの画像診断で疑わしければ、腰椎穿刺(ようついせんし)(針を刺し液体を採取すること)で髄液を採取、「髄液の排出により症状が改善するかどうか」という髄液排除試験(タップテスト)を実施します。

治療

iNPHに対する治療は、『髄液シャント術』と呼ばれる手術を行います。
主に「脳室‐腹腔シャント」「脳室‐心房シャント」「腰椎‐腹腔シャント」の3つの方法があります。当院では、できるだけ脳を傷つけない「腰椎‐腹腔シャント術」を優先的に採用しています。
手術時間は1時間程度です。

術後は、数日で改善するケースもあれば、数週間、数ヶ月で改善するケースもあります。実際に症状としては、個人差はあるものの、歩行障害は約8割、認知症は7割、尿失禁は約5割程度の方が改善し、介護が軽減するケースも多く見られます。

 

 

昨今、健康寿命を伸ばすことへの関心が高まっています。健康寿命を保つための重要な機能のひとつに「歩行」が挙げられます。この歩行機能を損なう原因となる病気は数多くありますが、当院ではそうした病気をいち早く見つけて治すことを目標に診療を行っています。

iNPHは早期治療により、症状の改善度合いが高いという臨床結果が報告されています。病気のサインを見逃さず、少しでも思い当たることがあれば、一度ご相談いただけたら幸いです。

担当:脳神経外科 部長 尤 郁偉

診察ご希望の方は、脳神経外科・脳神経内科の外来日にご来院ください。

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佐賀県佐賀市大財町1丁目6-60
医療法人 同愛会 サンテ溝上病院
0952-24-5251
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