頭痛の種類
頭痛が起こる原因は様々です。冒頭にお話しした命や後遺症に関わる頭痛は二次性頭痛と呼ばれます。この頭痛は緊急治療が必要なことも少なくなく、頭部CTやMRIなどで診断されます。頻度が多いものとしては、くも膜下出血、脳出血、脳動脈解離(かいり)などがあります。また、高齢化がすすむ現代においては慢性硬膜下血腫というご高齢の方がよく転倒したりすることでおこる血液の溜まりによる頭痛も増えています。
外傷や髄膜炎、脳腫瘍なども原因となり、他に、緑内障や副鼻腔炎(蓄膿症)といった脳が原因ではない頭痛も各々これに該当します。頭痛は強い場合も、それほどでもない場合もあり、画像を取らないと判断は困難です。万が一これに該当する原因の頭痛の場合は、それぞれ適切な診療科で入院や緊急なものも含めて手術などが必要となります。
一方で、こうした画像検査で特に問題がないものを一次性頭痛と言います。
慢性頭痛ともいわれており、15歳以上の方のうち約40%もの方が慢性頭痛に困っていらっしゃるとも言われています。この中で頻度が多いのが片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛であり、他に後頭神経痛と呼ばれる頭痛や痛み止めの使いすぎの頭痛なども頻度が多くなっています。
これらのご説明からもお分かりのように、頭痛はまず怖い頭痛がないかどうかをCTやMRIで検査をして、そうした原因がなければこの後に述べるような様々な慢性頭痛の治療をしていく必要があります。
片頭痛
一次性頭痛(慢性頭痛)の約3割を占めるのが片頭痛です。お持ちの方はよく分かられると思いますが、典型的にはズキンズキンという激しい痛みと吐き気を伴って、日々の生活が立ちゆかなくなる非常につらい病気です。痛み始める前に目の前がキラキラしたり歪んで見えたりする前兆を伴うこともあります。
片頭痛は、様々な誘因を引き金にセロトニンという脳内物質が減少することで、三叉神経という脳神経が興奮してしまい、CGRP(シージーアールピー)という血管を拡張させる物質が放出されることで、血管が拡張して炎症を引き起こして激しい痛みが出ると言われています。
治療は、頭痛発作が起き始めたときにセロトニンに似た作用のお薬を投与して発作を落ち着かせる発作薬を飲む方法と、発作自体が起きにくい様にする予防薬を定期内服薬で治療する方法があります。
また、2021年4月から、先のCGRPという物質に対する抗体の注射薬が使えるようになりました。この注射薬は片頭痛の予防効果が非常に高く、月あたりのひどい片頭痛発作日数を平均で3.6日低下させるといわれており、頭痛の心配から解放される方がたくさんおられます。この注射薬は月に1回(始めの月だけ2回の製品もあります)皮下注射をします。
注射が苦手な方には、たくさんの種類がある先述の発作薬や予防薬をうまく調整して頭痛発作の頻度や程度が減るように内服治療をします。
緊張型頭痛
いわゆる肩こりや首、後頭部の筋肉の血流不全による「こり」で起こる頭痛です。慢性頭痛の約半数はこれに該当し、非常に多い疾患です。首の後ろや後頭部がしめつけられるような、重たいような頭痛が起こりやすく、ひどい方は吐き気やめまい感を伴う方もいます。緊張性頭痛の治療はそうした固くなった筋肉をほぐすような飲み薬や基本的には後頸部をあたためるような対応をすることで和らぐ可能性が高いです。また、これにも痛みがでにくくするための予防薬もあるので、併せて調節していきます。
群発頭痛
この頭痛は、難しい病名ですが三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)という頭痛のなかの一つとされています。
頻度は少ないですが、片側の目の周りを中心とした刺すような激しい頭痛となることがおおく、かなりの痛みを伴います。
片頭痛のところでご紹介したようなセロトニンを調節するようなお薬や酸素吸入が効くと言われています。また、このTACsの一部には片側性頭痛と呼ばれる頭痛も含まれており、インドメタシンという痛み止めが著効する場合もあります。
後頭神経痛
後ろ頭と首の境目あたりからでてくる神経の名前であり、その神経が筋肉のやはりこりなどで締め付けられて起こる頭痛です。
緊張性頭痛とも似ていますが痛みがより強いこともあり、ひどい場合には神経そのものの痛みに効くお薬を使う場合があります。時折、帯状疱疹という痛みを伴う皮疹がでる疾患の初期に同じような場所の痛みが出ることがあり注意が必要です。
薬剤使用過多による頭痛
これは、いわゆる一般的な痛み止めなどを安易に飲み過ぎで起こる慢性の頭痛と言われています。
頭痛の診療は前述のような診断が重要であり、原因に適した内服薬でなければ症状を改善するどころか、よけいに頭痛に対する閾値をさげて頭痛を慢性化させてしまいます。
治療は内服薬をいったん中止、減量して、適切な予防薬などを調整して経過を見る必要があります。
頭痛は特にストレスが多い現代においては、お子様から大人、高齢者に至る誰にでも起こり、多くの皆様がお困りの症状かと思います。
当院では頭痛の適切な診断と治療を行うことで、みなさまの日常にお役に立つことができればと考え、皆で頭痛診療に取り組んでいます。
診察ご希望の方は、脳神経の外来日にご来院ください。
担当:副院長 脳血管内科 部長 上床 武史
・・・・・・・・・・・・・・・・
佐賀県佐賀市大財町1丁目6-60
医療法人 同愛会 サンテ溝上病院
0952-24-5251
・・・・・・・・・・・・・・・・
病院広報誌「santé」のご案内
この記事は病院広報誌「santé」に掲載した記事をwebページ用に再編集して掲載しております。
病院広報誌「santé」は院内各所の本棚に設置しておりますので、ぜひお手に取ってご覧ください。