先日、画家の原田泰治さんをしのぶ会に参加させていただきました。

原田泰治さんは、2022年3月2日にこの世を去られました。私は2020年8月にお会いする機会があり、彼のあたたかな人柄と大きな器に触れることができました。

原田さんは小児麻痺で足が不自由であり、旅に対して憧れがあったそうです。彼は42歳の時に朝日新聞の日曜版で、旅をしながら1週間で絵と文を書き上げるという連載に挑戦されました。その時の原田さんの作品は、サンテ溝上病院のロビーの柱に飾られています。一貫したテーマを、違う土地を巡りながら取材し、絵と文章を1週間で仕上げて発表し続ける・・何と言うバイタリティー!

原田さんの絵は、風景とそこに住む人々の存在感が溢れており、私たちに共通の優しい気持ちを呼び起こしてくれます。彼の作品は大胆な構図や繊細な描写、美しい色彩が特徴ですが、何よりも「人間の力強さ」を感じさせてくれます。作品には原田さん自身の優しさと力強さが宿っているのかもしれません。

その生命力に満ちた絵は、病院の環境にぴったり合っていると思います。通院される方々やリハビリを頑張る方々にとって、原田さん絵が励みとなり、心の癒しとなり、希望と勇気を与えてくれることを願っています。

病院広報誌「santé」vol.5より