『脳と心臓の関係』
脳と心臓は、とても深い関係を持っています。血管の視点から見ると、臓器に関係なく全身でつながっているため、生活習慣病などで全身の血管がダメージを受けると、脳も心臓も影響を受けてしまいます。また、心臓から送り出された血液がまず最初に届くのは脳です。まるでお隣同士の臓器のような存在です。
医師や病院を「脳専門」「心臓専門」と分けることも、人間が後から決めたことに過ぎませんよね。同じ新幹線でも、JR九州だったりJR西日本だったり会社が違うのと似ていると思いませんか?(笑)
それはさておき、この脳と心臓の結びつきは、「脳・循環器病」として法律に反映されたり、ブレインハートチームが注目を集めたりと、近年特に重要視されるようになっています。
たとえば、脳梗塞を発症した場合、まずはその原因を探ることが大切です。心臓や血管に問題がないか、詳しく検査します。不整脈がないか、心臓に穴が空いていないか、足の静脈に血栓がないか、などを調べるため、脳以外の部分もくまなくチェックします。場合によっては、体内に心電図を埋め込んで不整脈を見つけたり、エコーで行うマイクロバブルテストや経食道心エコー(当院では未実施)など、特殊な心臓の検査も根気強く行います。
不整脈が見つかった場合、基本的には薬で治療しますが、最近では不整脈を止めるカテーテルアブレーションや、血栓の原因となる左心耳を閉じる左心耳閉鎖術などの新しい治療法も行われています。また、卵円孔という心臓の小さな穴を介した奇異性脳塞栓症の場合、カテーテルを使って穴を閉じる手術も行われており、これは限られた施設で実施されています。
原因を徹底的に追及し、問題が見つかった場合には、最適な治療法を探っていくことが、質の高い脳卒中診療につながると考えています。
今月から、サンテ溝上病院では佐藤恭一副院長に加え、循環器内科の大江健介先生が着任され、2名の循環器専門医で診療を行います。これにより、さらに強固な「脳と心臓の連携」で、より質の高い脳卒中医療を提供し、地域の皆様に信頼される病院を目指していきたいと思います。
病院広報誌「santé」vol.10より